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籠の中の天使
第23章 戦い
静かな時間は簡単には手に入らない。
有難いかはわからないけど、私はノアのお父さんの会見から3日目には学校に戻れた。
南斗の方は元々辞めるつもりだった事もあり、早期退職で辞める手続きをしたのに、早月先生から紹介を受けた学校から
『是非にでも、直ぐにでも来て欲しい。』
と懇願を受けた為に、来月の早々には新しい学校へ通うと言う。
次の学校は不登校児が多く、せめて保健室での登校を増やしたいと考えていた学校側は早月先生から南斗の話を聞いて救世主か何かと勘違いをしてると南斗がボヤく。
「もう少し、一緒に居られると思ってたのに…。」
口を尖らせる私に南斗がため息を吐く。
「どうせ、大っぴらにデートとか旅行とか出来ないし、する予定もないから諦めろ。」
相変わらず、そういう部分は冷たい南斗が簡単に私を突き放す。
モデルの仕事をしてるうちは、デートなんか無理だ。
私が選んだ道なのだから諦めろと言う南斗にムカつく。
「学校、行って来る。」
不貞腐れたまま家を出ようとすれば南斗が慌てて私の手を握る。
握った手の甲へは必ず口付けをして私との繋がりを確かめる。
「早く、帰れよ。」
「わかってる…。」
やっと普通の暮らしを手に入れた。
学校では菊川さんや他の学生と色々な話をする。
「菊川さんもデビューした時にいきなり週刊誌にやられたもんね。」
誰かがそんな事を言う。
「あー…、私がヤンキーだってやつ?」
菊川さんは笑ってる。
「そんな事を書かれたの?」
週刊誌を見ない私だけが驚く。
「私の場合、頭が悪くてさ。デビューも決まってたから適当でいいやって入った学校がヤンキー学校だったの。別にヤンキーだからって悪い子ばかりじゃなかったけど、週刊誌で報道されちゃったから事務所が慌ててこの学校への編入に切り替えたって感じ。」
私の場合とは違って週刊誌に記事の訂正や謝罪までは求めなかったらしい。