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籠の中の天使
第23章 戦い
「その代わりに、しばらくは仕事を減らされたし、グループでもセンターから降りろとか言われて、もう芸能界じゃ生きて行けないのかなぁとか悩んだ時もあるよ。」
それを自分の才能で跳ね除けた菊川さんを尊敬する。
「咲都子の事務所はいいよね。社長自らがあそこまでしてくれる事務所なんか滅多にないよ。」
「そうそう、『君達は商品だ。その商品イメージを汚す様な行いは慎みなさい。』とかやたらと偉そうに言う割に、その商品を売り出す力の無い事務所の社長とか泣けて来る。」
普通の学校とは違う普通じゃない学生ばかりだから、私の状況なんか気にしない子が多い。
「私も社長さんから商品だって言われたよ。」
私も皆んなと同じだと初めて口にする。
「えー?コスモほどの大手でも、そんな事言うの。」
「少しは人間として扱って欲しいわ。」
「でも、売れたければ事務所は関係無しに自分が努力するしかないよねー。」
誰もが自分だけを信じて未来に向かってる学校で、初めて自分の居場所が出来たと感じる。
無理に友達になろうとしない。
業界じゃ誰もがライバルで自分の実力だけが信じられる世界だと、他人に構う事なく突き進む空気が好きだと思う。
「私も頑張らなきゃ。」
皆んなの前でそう宣言する。
誰も私に頑張れとは言わない。
それでも私の言葉に頷いて、私と同じ様に未来に顔を向けてくれる人がたくさん居る。
あの会見の後だとはいえ、私に仕事が増えた訳じゃない。
寧ろ、岡田さんからは
「モデルにはブランドイメージとか企業イメージが付いて回るから、咲都子ちゃんを起用する事に警戒してるのが今の現状というのが事実よ。」
と厳しい言葉を言われている。