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籠の中の天使
第3章 学校嫌い
前に挨拶をした…。
ああ、私の担任だと言ってた国語の先生だ。
確か名前は…。
「塚本 千紗(つかもと ちさ)っていうの。千紗先生って呼んでね。」
友達感覚で私に近付こうとする先生に後さずる。
「あっ…、ごめんね。」
先生は私の対人恐怖症を如何にも理解してますとばかりに一歩下がってから私を見直す。
そのまま黙って保健室に戻りたいと思うのに…。
「あのね…、相原さん…。ほんの少しでいいから教室に顔を出してみない?皆んな待ってるし…、先生も頑張るからさ。」
教師である事に誇りを持った輝く笑顔を私に向ける。
先生も頑張る?
つまり私に頑張れって意味?
何を頑張ればいいの?
まだ私に頑張れって言うの?
言われなき怒りが込み上げる。
「相原…、授業が始まってるから担当の先生が来てるよ。」
千紗先生と話す私を南斗が呼ぶ。
「すみません…、私が相原さんを呼び止めたから…。」
彼女は穏やかな笑みを南斗に向ける。
私は俯くだけの学生だ。
「呼び止めた?」
南斗が少し不機嫌な表情をする。
「持田先生、私は担任として相原さんには教室に戻って欲しいと思ってるんです。もうすぐ修学旅行もありますし…。」
「その件なら、もう少し時間が欲しいと伝えたはずですが?」
「ですが…、クラスの皆んなも相原さんを受け入れる気持ちが高まってますし…。」
千紗先生と南斗が言い争う。
私のせいで学校では南斗が立場的に嫌な思いをしてるのかもしれないと感じるだけで学校からも逃げたくなる。
「相原…、とにかく保健室に戻りなさい。塚本先生のお気持ちは理解致しました。相原が落ち着いてる時にでも話をします。」
俯く私を千紗先生から隠すようにして南斗が一歩前に出る。