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籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…



南斗が私を連れ出してくれたように、千鶴さんも社長に連れ出してもらった立場だと教えてくれる。


「まあ、あの社長だから、しっかりしてんのよ。出世払いでいいからと私に食事と家を与えて学校に行かせてくれたけど…。社長から依頼される仕事は未だにタダ働きさせるんだから…。」


千鶴さんが膨れっ面をするから私と穂奈美さんの2人で笑う。


「そうやって笑ってるけど、穂奈美と咲都子。2人共、今日の仕事は笑ってられないって理解してるの?」


千鶴さんの言葉に私に緊張が蘇る。


「今日の仕事…、穂奈美さんも笑えないの?」

「アンタ…、仕事の内容を聞いてないの!?」

「千鶴さんと打ち合わせで聞けって…。」


仕事内容を知らないのは私だけらしく、穂奈美さんまでもが


「千鶴さん、どうしよう?」


と叫んでる。


「穂奈美はジタバタしても仕方がないでしょ。」


落ち着いてる千鶴さんだけが慌てる私達を呆れてる。


「だって、『Beau』だよ。あの『Beau』からの依頼なのよ。」


穂奈美さんの叫び声で完全に固まった。

『Beau』…。

とは美容業界トップのエステサロン経営会社だ。

ここ、数年は女性の肌をケアする化粧品にも力を入れていて、今や世界ブランドになってる。


「『Beau』の仕事っ!?」

「そう、『Beau』の新商品の名が『Ange』つまり天使って意味よ。」


勝ち誇った顔で千鶴さんが私を見下ろす。


「天使…。」

「天使の様な美肌を目指すってコンセプトらしいわ。確かに咲都子の真っ白な肌ならイメージにピッタリだもの。」

「その化粧品で千鶴さんがメイクするって事ですか?」

「そう、穂奈美はその肌を引き立たせる衣装を担当するわ。」


仕事の打ち合わせを千鶴さんが説明してくれる。


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