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籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…



こんな派手なドレスを着た事がない私だけがますます緊張を感じてしまい、何度も深呼吸をする。


「緊張とかしてるの?」


穂奈美さんがフフと笑う。


「…しますよ。『Beau』の社長さんって怖そうだし…。」

「あら、私はさっき少しばかし話をしたけど凄く素敵な社長さんだったわよ。まだ独身らしいし、私でチャンスがあるのならお食事にでも誘いたいわ。」

「チャンスって?」

「お近付きになれるチャンス…、あわよくば…。」

「あわよくば?」

「咲都子ちゃん、大人の彼氏が居る割には鈍いのね…。」


怖そうだけど、穂奈美さんは好みらしい。


「南斗以外の人には興味がないのです。」


幾ら、素敵な人でも、私には南斗が一番だと思う。

今は、南斗の事を忘れて仕事に集中する事だけを考える。


「スタンバイが出来たらお願いしますっ!」


スタッフさんの声がする。


「頑張ってね。」


穂奈美さんが耳打ちする。


「はいっ!」


張り切って撮影スクリーンの前に進み出れば


「よろしくね。」


とカメラを抱えた中年のおじさんが笑顔で挨拶をしてくれる。


「よろしくお願い致します。」


カメラに向かって、しっかりと頭を下げた後は、笑顔を作る。


「いいよ。少し首を上に…。目線はこっちのままで…。」


カメラマンさんの指示に従いポーズを取り撮影を続ける。

シャッターの音が鳴りっ放しで何枚の写真を撮ったかすらわからなくなって来る。


「少し休憩にしよう。」


とだけ言われる。


「satoちゃん、こっちに…。」


と岡田さんが私を手招きする。

そこには事務用のテーブルやパイプ椅子があり、その椅子に私を座らせてから


「お茶かコーヒーを持って来ようか?」


と岡田さんが聞いて来る。

てっきりメイク直しや衣装交換があるのかと思っていたのに、まだ今のままで構わないとスタッフさんが岡田さんに言う。


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