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籠の中の天使
第24章 どんな状況でも…
私からは離れた場所でパソコンの前に座るカメラマンさんの周りには千鶴さんや穂奈美さん、そして『Beau』の社長さんまでもが集まってる。
「ダメ…だったのかな?」
イメージと合わなかったのかもしれない。
ちゃんと笑えたと思ったのに…。
不安でいっぱいになって、手が震えて来る。
「ちょっと、状況を聞いて来るね。」
そう言って、岡田さんまでもが私から離れてしまうから不安はますます大きくなって心臓が壊れそうなほど激しい鼓動を繰り返す。
「ケーキはお好きですか?」
いきなり、そう言われて身体がピクンと跳ねる。
ノアの様なお腹に響く声…。
でも、ノアよりも落ち着いてて重みのある優しい声の方へと顔を上げれば、真っ白な箱を抱えた『Beau』の社長さんが私の顔を覗き込むようにして見てる。
「あのっ…。」
撮影が失敗だったのかを知りたい。
なのに、社長さんは
「もしかして…、甘い物は嫌いとか?ダイエットとか?参ったな。高校生の女の子って聞いてたから知り合いに頼んでケーキを作って貰ったけど…。食べないかな?」
と勝手に狼狽えてアタフタしながら、厳つい顔を更に厳つくするように眉を寄せて困ってる。
「ケーキは好きです。」
「なら、良かった。お一つ、いかがですか?」
箱の蓋を開けて、私の前にゆっくりとケーキを差し出す姿はとても紳士的で怖い人には見えない。
「美味しそう…。」
「お勧めはチーズケーキかな。」
社長さんが顔をクシャクシャにして嬉しそうに笑う。
甘い物が好きな社長さんなんだと思うだけで可愛く見える。
「いただきますっ!」
久しぶりのケーキだから遠慮なくとパクついた。