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籠の中の天使
第25章 貴方の為に…



ベッドが届いたのは昨日だけど、夕べは撮影があるからと寝不足が出来ない私は落ち着かない南斗を無視して早く寝た。

だから、今夜は…。

それを考えると嫌でも顔が緩み出す。


「咲都子…、まだか?」


いつまでも洗面所でニヤニヤしてる私を呼ぶ。


「今、行く…。」


2人で色々と話し合った。

南斗の部屋が大きなベッドに占領されるだけの寝室になってしまうから、今まで私が使っていた部屋を私の衣装部屋兼南斗の仕事部屋に変える事に決めた。

この家に来て初めての自分の部屋が持てたのは嬉しかったけど、その部屋が失くなったとしても変わらずに嬉しいと思える。

だって幸せの形に生まれや家は関係ない。

南斗と2人で寄り添って生きていける事が私にとっては一番の幸せだと感じる。


「咲都子っ!」

「わかってるってばぁ…。」


結局、待ちきれない南斗が洗面所まで顔を覗かせる。

急いで、嗽を済ませてタオルで顔を拭く。


「ちゃんと磨いたか?」

「見る?」


わざとらしく歯をいーとして南斗に見せる。


「綺麗になってる。」


そう言って南斗が私の口にキスをする。

キスをしながら縺れ合うように寝室に雪崩込む。


「ふふふ…。」


思わず笑みが零れる。


「何だよ?」


まだ不機嫌な南斗が聞く。


「幸せなの…、幸せ過ぎて笑いが止まらないの。」


南斗の首に腕を回して抱きつけば、しっかりと私を抱き返してくれる南斗が居る。


「お前の笑顔…、ずっと好きだった。いつだって天使みたいにキラキラと輝いて見える笑顔が大好きだった。その笑顔はもう俺だけの笑顔じゃないと思うと少し寂しい気がする。」


頬に軽く口付けをする南斗がそんな言葉を囁く。


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