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籠の中の天使
第4章 診察
週末…。
しかも連休…。
連休明けは何処の学校でも中間考査があるから普通の学生なら楽しくないかもしれないけど、私にとってはあの街から逃げられる唯一の時間だから楽しくて心が踊る。
商店街の出口で信号に引っかかった。
「おい、お前、相原だろ?お前、何処に行くの?」
男の子が私を呼び止める。
私には誰なのかわからない。
ニタリとその子が笑った瞬間、あの3人組の表情が蘇る。
あの3人はこの街から出て行った。
3人とも地方の高校に行かされたと南斗が言ってたのに…。
この男はあの3人とは違うかもしれないけど…。
あの3人かもしれない…。
わからない私は男の子を無視して見切り発進なのに信号を渡る。
パッパーッと右折しようとしてた車にクラクションを鳴らされた。
ただ逃げたかっただけ…。
無我夢中で自転車を漕いで南斗のマンションに向かう。
男の子は追って来ない。
心臓が壊れそうなくらい動いてる。
マンションの駐輪場に自転車を停めておばあちゃんから貰ったたこ焼きとスーパーで買った食材の袋を鷲掴みにしてマンションの中へ飛び込む。
エレベーターのボタンを乱暴に叩き、エレベーターの扉が閉まれば足が震え出す。
世界中が私を攻撃してる。
そう感じる瞬間…。
こんな私が教室に戻って何食わぬ顔で修学旅行に行くとか絶対に無理だと思う。
南斗の部屋に入り冷蔵庫にある水を一気飲みすれば、少しだけ震えが止まり、気持ちが落ち着いて来る。
ホッと息を吐いた時、玄関の扉が開き私の心臓が停止する。
「咲都子?」
部屋に入って来たのは南斗…。
青ざめた顔をする私に南斗がゆっくりと近付いて来る。