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籠の中の天使
第4章 診察
私の一番好きな時間…。
お料理中って南斗の奥さんになれた気がするの。
まだ下手くそな私だけど、南斗は穏やかに笑ってくれる。
出来たカレーを2人で食べる。
一番幸せな時間なのに…。
「なあ、咲都子…、この連休は旅行にでも行こうか?」
南斗がそんな話をする。
「旅行とか行けるの?」
私が学生のうちは行けないって言ってたのに…。
「んー…、本当は行けないけど…、行きたいよな?」
南斗が苦笑いをする。
「何か…、あったの?」
いつもと違う南斗に不安が押し寄せる。
「連休明けの中間考査が終わったら…、少しづつ、咲都子を教室に戻せって言われた。」
苦痛を受けたのは私だけじゃない。
南斗の表情が歪んでる。
「嫌だって…、言ったら…?」
「1日、1時間だけでもいいんだ。咲都子の主治医として北斗も学校に来てくれる。咲都子は成績優秀だけど、出席日数がギリギリの扱いだし、文化祭や体育祭に参加してないから単位的に危ない状況にある。」
「だから…、修学旅行に行けって事?」
「1時間だけでも団体行動が取れれば…。」
「そんなの無理に決まってるっ!」
食べ終わったカレーのお皿をキッチンの流しに乱暴に入れてから自分の部屋に飛び込む。
「咲都子っ!」
慌てて南斗が私を追い掛けて来る。
南斗から逃げるようにしてベッドに潜る。
南斗が居なければ私には何処にも居場所がなくなってしまうとわかってるのに南斗からも逃げちゃう。
涙が溢れて止まらない。
助けてよ…。
助けてくれるって約束したじゃない。
南斗の様々な努力を理解が出来ない馬鹿な私は全ての怒りを南斗にぶつけてしまう。