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籠の中の天使
第4章 診察



布団の上から南斗がポンポンと叩き


「北斗の診断で、咲都子の団体行動は不可能だって出して貰えるか聞いてみる。だから…、咲都子が辛いなら無理はしなくていい。」


南斗は私を甘やかす。


「風呂…、入れよ。」


南斗が部屋から出てく。

洗い物をする音がする。

私は声を殺して泣き続ける。

籠娘の私に訪れる幸せなんか存在しない。

私はあの街の籠娘…。

ずっと怯えながら暮らすしかないのだと諦めて泣き続ける。

いつの間にか涙が枯れてた。

泣き疲れて眠ってたらしい。

ベッドから出て制服のままだと気付き、パジャマを持ってお風呂に行く。

南斗の部屋のお風呂は普通のお風呂…。

もう温くなった湯船のお湯を再沸騰させてから服を脱ぐ。

お風呂の鏡には痩せた醜い女の子が映る。

醜いのは私の心…。

昔、お母さんがそんな話をしてくれた。

鏡には心が映る。

もしも、鏡を見て醜いと感じる時は心が醜く腐ってる時…。

だから、いつも笑ってなさい。

笑えば心が綺麗になると教わった。

私は笑えない。

どんどん醜くなる私の心が荒む。

お風呂から出て水を飲み、南斗の部屋の扉を開ける。


「ん…、咲都子…か?」


寝ぼけた南斗の声がする。


「一緒に…寝ていい?」


私はそうやって南斗を縛り付ける。

南斗は黙って私の為にベッドの場所を空けてくれる。

私が南斗のベッドに滑り込めばすぐにギュッと抱っこをして私の頭を撫でて来る。

南斗の身体に自分の身体を擦り寄せる。

私はもう知ってる。

私はもうあの頃の子供じゃない。


「咲…都子…。」


息を詰まらせて、困った表情をする南斗が顔を赤くする。


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