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籠の中の天使
第4章 診察
偽りの愛が売られる街の子は本物の愛を求めて眠る。
朝になり南斗が私の頭を撫でる。
「おは…よ…。」
少し寝ぼけたまま南斗に声を掛ければ、おでこからチュッとリップ音が起きる。
「朝飯…、たこ焼きを食って宿題を片付けろ。昼は外で食って買い物にでも行こう。」
照れた笑顔で私を見る南斗が好き…。
「うん…。」
南斗に言われた通りに午前中を過ごす。
午後は買い物に行き、あまり出掛けなくて済むようにたくさんの食材を買い込む。
連休は5日もある。
2人だけの時間を貪る生活を南斗と送る。
午前中は適度にテスト勉強をしたり宿題のプリントをやる私のテーブルの向かい側で南斗は持ち帰った仕事をする。
午後は録画してた映画やドラマを観たり、疲れたら2人で昼寝とかする。
「恋愛ドラマ…、咲都子の好み…。」
ベタベタで甘ったるい恋愛ドラマが嫌いな南斗が欠伸をする。
その南斗の指と指の間に私の指を滑り込ませて恋人繋ぎをしてから南斗の顔を覗き込む。
「憧れなんだもん…。」
私には訪れない華やかな恋愛…。
せめてドラマだけでも好きな人と観たいと願う。
「そのうち…、出来るさ…。」
南斗が私から目を逸らす。
南斗じゃない人との恋愛をしろと言われてる。
「私は…南斗がいい…。」
恋人繋ぎをした手を引き、南斗の手の甲に口付けする。
「俺だって…。」
私と争うように南斗が私の手の甲に口付けする。
お互いの手を挟んで私達は口付けを交わす。
永遠にこのままがいい…。
誰にも邪魔をされずに、ずっと南斗と2人だけの世界に留まりたいと思う。