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籠の中の天使
第4章 診察
現実は残酷…。
幸せな時間だけの連休が終わる。
「教室に行けるのか?」
恋愛ドラマを最終回まで一気に観て、テンションの上がった私を現実に引き戻す質問を南斗がする。
「南斗の為なら…。」
そう答えた私を南斗が膝に乗せて笑う。
「大丈夫…、咲都子は美人だし成績優秀だから、すぐにクラスの人気者になるよ。」
「美人じゃないし…。」
「美人だよ。初めて咲都子に出会った日が忘れられない。」
南斗は懐かしげに私の顔を撫でる。
「初めて会った日って…、私は生まれたばかりじゃん。」
私だけが知らない出会い。
私が生まれたと聞いて北斗さんと病院に駆け付けた南斗…。
「すげー、綺麗な赤ちゃんでさ。俺と北斗のどっちが始めに抱っこするか喧嘩になったんだ。」
私を抱いてるお母さんが南斗達の兄弟喧嘩に困ってると、それまで静かに眠ってた私が突然泣き出した。
「あの日から、絶対に咲都子を泣かせたりしないって北斗と決めたのに…、何があっても咲都子を守ろうって決めたのに…。俺はまた咲都子に辛い思いをさせてる。」
泣きそうなのは南斗の方だ。
私を抱っこしながら辛そうに顔が歪む。
「平気…、南斗の為ならなんでも頑張れる。」
「咲都子も北斗も偉いな。」
南斗がチュッと頬にキスをする。
「北斗さんが?」
「俺や兄貴も…、学校じゃいい思い出が無い。でも北斗は常に成績優秀でそんな自分の環境を跳ね除けてた。」
南斗は男だったから私ほど酷い事はなかったと言う。
それでもクラスの女の子に手が当たっただけでバイ菌が付いたみたいな顔をされたり、男の友達からは
『お店の綺麗なお姉さんとヤラせてよ。』
と絡まれたりする事が多かった。