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籠の中の天使
第4章 診察



先輩からはお店のお姉さんを連れて来いって言われて、南斗が無理だと答えるとお金を取られたりもしたらしい。

学校の先生に相談しても『あの街の子だから…。』という理由であまり熱心に話は聞いて貰えない。


「それで…、話を聞いてやれる大人になりたかったんだ。」


保健医になった本当の理由を南斗が話してくれる。

私も南斗みたいに未来へ夢を持ちたい。

その為に踏み出す第一歩が教室だ。

連休が終わり、中間考査が始まる。

中に土日を挟む中間考査の間は勉強にだけ集中する。

成績だけはキープしなければ、本当に学校での居場所が失くなると南斗が心配するから…。

私は南斗だけの為に努力する。

中間考査の最終日…。

私はあの街にある持田病院で北斗さんの診察を受けた。


「ちゃんと眠れてる?少し体重が落ちたね。」


北斗さんが私のカルテを見て私に言う。


「テスト中だったから…。」


言い訳は北斗さんに通用しない。


「緋彩に弁当を作らせる。学校帰りに病院に取りにおいで…。」


私の夕食を北斗さんの奥さんに作らせる。


「いいよ…。緋彩さんだって忙しいでしょ?」

「俺の弁当を作るついでだから大丈夫だ。」


北斗さんも夕食はお弁当…。

病院で食べる為に緋彩さんが作ってる。


「緋彩…、料理が上手いんだ。あの台所じゃ大したものは作れないけどな。」


私の家と変わらない狭い家…。

北斗さん達夫婦も南斗のようにあの街の外側で普通の部屋を借りたいと思ってる。

思っててもお店のお休みと病院のお休みが違うから、部屋を借りる事に踏み切れない。


「緋彩に子供が出来たら…、店を一時的に閉めるから、その時は部屋を借りなきゃダメなんだろうな。」


南斗によく似た笑顔で北斗さんが笑う。


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