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籠の中の天使
第4章 診察
「南斗にそっくりって…、俺の方が兄ですが?」
北斗さんが千紗先生をからかう。
「すみませんっ!」
千紗先生が頭を下げると南斗が
「兄貴…、今日は相原の為に来たんだろ?」
と不機嫌に言う。
「うん…、そうだね。行こうか相原さん…。」
北斗さんが意味深に私の名前を呼ぶ。
いつもは南斗が咲都子と呼び捨てにして北斗さんが咲都子ちゃんと呼ぶのに、あまりあの街での親しみを出せないかのように他人行儀な呼び方をする。
先生に囲まれて教室までの廊下を歩く。
6時限目はもう始まってる。
私の為に少し遅刻して教室に行けば、先生の居ない教室は学生の声が充満してて騒がしい。
「はーい…、静かにして下さい。今日は皆んなに大事な話があります。」
先ずは担任である千紗先生が教室に入る。
それから北斗さんが教室に入ると教室中からざわめきが起きる。
「モッチーにそっくりーっ!」
そんな女の子の声がする。
「だから俺の方が兄だって…。」
北斗さんが呟く。
私は南斗の後ろに隠れるようにして教室に入る。
「見て…、色…白ーい…。」
「やばっ…、超美少女…。」
コソコソと話す学生の視線を感じる。
「はいはい、静かにして…、皆んなのクラスメイトの相原 咲都子さんはわかりますね?相原さんはずっと病気でなかなか教室に来れなかったけど、今日から頑張って教室に来ます。その病気について相原さんの主治医であるお医者様からお話があるので、皆んな、真面目に聞くように…。」
千紗先生がざわつく教室を引き締める。
北斗さんが黒板の前に立ち一歩踏み出す。