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籠の中の天使
第5章 間違ってもいい…



今日は数学…。

数学の授業が終わると私の隣で杉山さんが


「山科の授業はさっぱりわかんない。」


と机に突っ伏する。


「咲都はわかった?学年でトップ10だもんね。」


上地さんが私の方へ振り返る。

テストがあるとトップ10だけ職員室の前に名前が張り出される。

私は毎回8番か7番に名前が出てる。


「教室の授業と保健室の勉強って同じ?」


杉山さんが聞いて来る。


「毎回…、課題のプリントを貰って…、わからない時だけ先生に聞く感じ…。」


そう答えて私が貰うプリントを見せれば


「私らが貰うプリントと同じだ。」

「てかプリントは1枚だけ?私らは2枚あるし…。」


上地さんと杉山さんが代わる代わるに話す。

最近、やっと、この忙しいペースの会話に慣れた。


「相原が貰ってるのは基礎プリントだけだ。俺らは応用のプリントを貰ってるのに相原よりも成績が悪いって事は相原が天才って事なんじゃないの?」


峯岸君が私のプリントを見て言う。

多分、違うと思う。

保健室には時間だけがたっぷりとある。

実際に授業を受けてみるとノートを書いたり先生の説明を聞いたりとやたら忙しくて大変だ。

それに比べて保健室だと要点だけを聞いて終わりだから、基礎プリントを丸暗記出来るくらいに時間が余ってる。


「多分、基礎プリントだけを勉強して、きちんと覚えたら、皆んなも私と同じくらいの成績になると思う。」


それだけを言って教室を出る。


「同じ成績だって…。」

「何様?」

「箱入りのお嬢様は上から目線…。」


杉山さん達とは違うグループの派手目な女子が私の方を見てクスクスと笑う。

彼女達とは話さない方が良いと上地さんが言ってた。


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