この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
籠の中の天使
第6章 狡い街
ふと目が覚めた。
布団から出ると南斗は居ない。
独りでポツンと知らない部屋に置き去りにされてる自分が惨めに感じて泣きそうになる。
私の部屋の扉がノックされて、開いた扉から峯岸君が顔を出す。
「相原…、持田先生は?」
そう言いながら峯岸君が私の部屋に入って来る。
「わかん…ない…。」
としか答えられず部屋着の自分の姿を峯岸君から布団で隠す。
「えっと…、どうしよう?夜のスケジュールの確認に来たんだ。」
峯岸君が少し困ったように眉間に眉を寄せる。
夜のスケジュールは団体行動…。
何故か野球観戦というイベント…。
しかも夕食はその野球場で食べるというスケジュールだから、流石に私も参加するかもしれないとクラス委員長として保健医である南斗に確認に来たらしい。
団体行動だけは参加するようにと言われてる。
「相原…、参加出来る?それとも俺と2人でバックれる?」
悪戯っ子の様な笑顔を見せて峯岸君が笑う。
こういうノリに慣れてない私は苦笑いするしかない。
「着替えて…、出ておいでよ。廊下で待ってるから…。」
親切な峯岸君…。
クラス委員長で剣道部の主将クラスの剣士だと向井さんから聞いた事がある。
茂君とは小学校からずっと同じ学校だったらしい。
茂君は野球部だから、今夜の野球観戦を楽しみにしてる。
着替えを済ませ廊下に出れば、窓から射し込む夕日に顔を赤く染めた峯岸君が目を細めて私を見る。
「相原の私服姿って…、大人っぽいね。」
峯岸君が私から顔を背けて言う。
南斗が選んでくれた服…。
全て南斗の好みで買ったものばかり…。
Vネックでノンスリーブの水色のワンピースに水色のカーディガンを羽織り、踵が少し高いサンダル姿になった私は少し緊張する。