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きっかけは十人十色
第22章 嵐の前触れ
「すぐに返事が来るとは限りませんが……、私としては是非お願いしたいので、今教えて頂いた加工の件も含めて、先方に伝えてみます」
「はい、ありがとうございます」
どうやら、アピールは伝わったらしい。
ホッと胸を撫で下ろして、頭を下げた。
「あぁ、あと、通常の納品の件ですが」
「はい」
ぐっと背筋を伸ばした。
壁時計の秒針を刻む音が、やけにいつもより大きく聞こえる。
「これまで通り、よろしくお願いします」
「ありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願い致します」
今度は、深々と頭を下げる。
顔を上げると、にこにこと平田部長がこちらを見つめて言った。
「柴崎さん、だいぶ肩に力入ってましたでしょう?」
「見抜かれてましたか」
表情を崩して、お茶に手を伸ばした。
「田嶋さんがお一人で来られることはありますけど、柴崎さんが来られる時は田嶋さんとお二人ですしねぇ。まぁ緊張するなって言うのも無理な話でしょうが」
言葉を切ると、平田部長もお茶に手を伸ばしてゆっくりと器を傾ける。
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