この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは十人十色
第22章 嵐の前触れ
「お待たせしました」
コン、と軽い音と共に、キーボードの脇に缶コーヒーを置いた。
「サンキュ」
既に入力をだいぶ進めていた田嶋先輩が、手を休めてプルタブを開ける。
「で?どうしたって?」
周りには、まだ何人かが残って仕事をしている。
「篠田さんに行くと、いつも応接に通されるじゃないですか」
入力途中だった箇所から、続きを打ち始めながら声をワントーン落として話し始めた。
「あー、うん。……そういや、二週間くらい前に行った時にお茶出してくれた子、初めて見た顔だったな」
コーヒーを傾けて、思い出したように先輩がぽつりと呟く。
「そのお茶出ししたの、俺の元彼女です」
そう言って、自分の分の缶コーヒーのプルタブをカシャリと開けた。
「マジで?」
先輩からの驚きの視線を受け流して、コーヒーを二口ほど流しこんでから答えた。
「冗談で言いませんよ、こんなこと。篠田さんに居るのなんて知らなかったけど、応接室に入って来た瞬間すぐに気づいて、動転してテーブルの下に膝ぶつけました」
「うーわ、悲惨」
カタカタと入力を再開してしばらくして、先輩がまた口を開いた。
「あれ?浮気されたって子だよな?」
コン、と軽い音と共に、キーボードの脇に缶コーヒーを置いた。
「サンキュ」
既に入力をだいぶ進めていた田嶋先輩が、手を休めてプルタブを開ける。
「で?どうしたって?」
周りには、まだ何人かが残って仕事をしている。
「篠田さんに行くと、いつも応接に通されるじゃないですか」
入力途中だった箇所から、続きを打ち始めながら声をワントーン落として話し始めた。
「あー、うん。……そういや、二週間くらい前に行った時にお茶出してくれた子、初めて見た顔だったな」
コーヒーを傾けて、思い出したように先輩がぽつりと呟く。
「そのお茶出ししたの、俺の元彼女です」
そう言って、自分の分の缶コーヒーのプルタブをカシャリと開けた。
「マジで?」
先輩からの驚きの視線を受け流して、コーヒーを二口ほど流しこんでから答えた。
「冗談で言いませんよ、こんなこと。篠田さんに居るのなんて知らなかったけど、応接室に入って来た瞬間すぐに気づいて、動転してテーブルの下に膝ぶつけました」
「うーわ、悲惨」
カタカタと入力を再開してしばらくして、先輩がまた口を開いた。
「あれ?浮気されたって子だよな?」