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きっかけは十人十色
第24章 衝撃

ピンポーン

空気を一変させたチャイムの音に、二人して真ん丸く目を見開いて、行為を中断してバッと身体を離した。

ピポピポーン

「詩乃ー?いるんでしょ」
「お母さん」
詩乃の口がパクパクと動く。
完全に前がはだけてしまっている。
はだけさせたのは正真正銘、俺なのだが、このタイミングで入られたらマズイ。
「いるなら返事くらいしなさいよ?入るからね」
ドアノブがゆっくりと下に動く。
一瞬の判断で、ブラウスとジャケットを詩乃に持たせて、力を加え過ぎない程度に背中を押した。
「お手洗いに隠れて。俺が出るから。何とかごまかす」
口早に囁くと、即座に詩乃が頷いてサッと身を隠す。
音を立てないようにお手洗いのドアが閉められたのと、玄関ドアが開けられたのはほぼ同時だった。
「あらっ!」
口元に手をあてて瞬きをしたあと、口に綺麗に弧が描かれる。
「柴崎……櫂さんね?詩乃の母です」
「はい、柴崎です。はじめまして。詩乃さん、ちょっと出られないので僕が代わりに」
お手洗いの方向に身体を向けて、軽く頭を下げた。
「あらぁ、やだわ。ごめんなさいね、突然来てしまって」
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