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きっかけは十人十色
第24章 衝撃
「うん、見事に整った顔だわ。はぁ、私があとじゅ……いえ、20歳若かったらいけたのに……」
口元に片手を当てて、ほう、とため息混じりの吐息が漏らされる。
想定していなかった初めてのシチュエーションに、どう返すのが正解かと、焦りは表面に出さずに必死に考えを巡らせる。
「いえ、そんなこと……ありがとうございます。詩乃さんもお母さんも目を惹かれる見た目で」
「やだわー、お上手ね」
ジャー、と水を流す音がしたあと(もちろんフェイクだ)、バタバタと詩乃が走ってきた。
「ちょっと、お母さん!」
「あら、長かったじゃない」
「長かったじゃない、じゃなくて!アポなし訪問やめてって何回も言ってるじゃない。それから、好みの見た目だからって変にアプローチするのも!櫂が困ってるでしょ」
「ま。下の名前で呼んでるのね。しかも呼び捨て」
「話そらさないで。自分の、か、彼……なんだから良いじゃない」
ついさっきまで勢いのあった詩乃の口調は、ポソポソと小さくしぼんでしまった。
チラリと横目で見ると、頬が桃色に染まっている。
口元に片手を当てて、ほう、とため息混じりの吐息が漏らされる。
想定していなかった初めてのシチュエーションに、どう返すのが正解かと、焦りは表面に出さずに必死に考えを巡らせる。
「いえ、そんなこと……ありがとうございます。詩乃さんもお母さんも目を惹かれる見た目で」
「やだわー、お上手ね」
ジャー、と水を流す音がしたあと(もちろんフェイクだ)、バタバタと詩乃が走ってきた。
「ちょっと、お母さん!」
「あら、長かったじゃない」
「長かったじゃない、じゃなくて!アポなし訪問やめてって何回も言ってるじゃない。それから、好みの見た目だからって変にアプローチするのも!櫂が困ってるでしょ」
「ま。下の名前で呼んでるのね。しかも呼び捨て」
「話そらさないで。自分の、か、彼……なんだから良いじゃない」
ついさっきまで勢いのあった詩乃の口調は、ポソポソと小さくしぼんでしまった。
チラリと横目で見ると、頬が桃色に染まっている。