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きっかけは十人十色
第24章 衝撃
「あー……、苦しかった……」
しばらくして戻ってきた詩乃が、隣に腰を下ろした。
「何か、ごめん」
「ううん、櫂のせいじゃないよ。背中さすってくれたし、すぐ楽になったから。ありがと」
箸の動きを止めていた俺を気にしてか、
「あ、構わず食べて。私、あとで様子見ながら食べるから」
と言ってくれた。
頷いて、食事を再開する。
やっぱり美味しい。おにぎりの塩加減もちょうどいいし。

きれいに食べ終わって、指先にくっついてしまったご飯粒をパクついていると、詩乃がクスクスと笑っている。
ヤバイ。子どもっぽかったか?でも、ティッシュで取るものでもないし……。
――というのは、どうやら俺の勘違いだったらしい。
「ここにも付いてる」
「え?」
ツンツンと自分の唇の端を人差し指で示すと、そのまま俺の方に指を近づけてご飯粒をそっと摘み取った。
目を丸くしている間に、その指を自分の口へと持っていき、パクッと咥えて、一言。
「美味しかった?」
「はい、ごちそうさまでした……」
小さくコクコクと頷いて、顔が熱くなったのは言うまでもない。
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