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きっかけは十人十色
第25章 嵐の到来
「あぁ、悪いな。サンキュ」
田嶋先輩はさほど悪びれた様子もなく、差し出した缶コーヒーをお釣りと共に受け取った。
どうやら、もう一本は明日飲むらしい。
まだ飲む気配がないなと思い、ちらりと見ると、名刺ホルダーをパラパラと捲っている。
「あ、――あった。柴崎、はいよ」
手渡されたのは平田部長の名刺だ。
俺も同じものを持っている。
「裏見てみな」
「あ」
言われた通りに裏返すと、携帯電話の番号が書いてあった。
「それなら本人に直で繋がるだろ」
口端をつり上げると、カシッと小気味いい音を立ててプルタブを開けている。
「ありがとうございます。かけてみます」
「あ、ちゃんと俺から番号聞いたって伝えろよ?」
「はい」
間違わないように番号をきっちり見比べながら電話をかけた。
呼び出し音が三回続く。
まだ来客の対応中かもしれない。
フックに指を伸ばしかけた時、呼び出し音が途切れた。
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