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きっかけは十人十色
第26章 ニアミス
しばらくしてから、返信があった。
少しだけ期待をして、気合いを入れて画面を開く。

詩乃もお疲れ様。
たぶん空いてるとは思うんだけど、新規案件が入って、その関係で忙しくなりそうで。
もちろん会いたいけど、今の時点では何とも言えないから、落ち着いてからでいいかな?
せっかく声掛けてくれたのにごめん。
―――

ダメ元と思いながらも、もしかしたらとちょっとだけ期待してしまった分、読んだ瞬間に深い溜め息が出てしまった。

ううん、仕事なら仕方ない。
櫂が悪いんじゃないもの。
頭をふるふると振った。

それからゆっくりと深く頷いて、自身を納得させる。

開いたままで何も操作していなかった画面のバックライトが消えて、やがて暗くなった。
そこに映り込んだ私の表情は、眉尻も下がって口角も下がっていた。見るからに落ち込んだ顔。
(返事……返さなきゃ)
髪をくしゃりと掴んで、唇をきゅっと噛みながら返信画面をタップした。
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