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きっかけは十人十色
第26章 ニアミス
ごめんね、お待たせ。
電話、平気?
―――

送信した直後、待ってましたとばかりに返信があった。

いいよ。
かけるね?
―――

胸がコトンと音を立てる。すぐに、着信音が流れた。

「もしもし?」
『ごめんね、すぐに鳴らしちゃって。待ってられなくて、携帯握りしめて待ってた』
「もう……」
口ではそう言いながらも、内心は嬉しくて仕方がない。実際、口元は緩んでしまっている。
「ねぇ、櫂。ご飯食べたの?」
『うん、持ち帰りの牛丼だけどね。ちょっと作る気しなくて』
「……疲れてる?」
『あー……、まぁ。でも大丈夫』
「無理しちゃだめよ?」
ごく自然に、心配の言葉が口をついて出た。
『ははっ、そんな心配そうな声出さなくても。食欲はちゃんとあるからさ。作るの面倒くさいなって程度だから』
「んー……、そう言うなら……。でも新規案件って、いろいろ話詰めたりしないとでしょ。他の仕事だってあるだろうし」
『あ、そうそう。その案件ね、運が良かったって言うか、たまたまって言うか』
「そうなの?」
『うん』
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