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きっかけは十人十色
第26章 ニアミス
ショコラキャラメルをできるだけ味わって飲んで、空になったカップを返却口へ戻した。
店内の奥にある化粧室へと向かい、サッと髪を整えて、リップを重ねて塗った。
巷で根強い人気の、赤みブラウンのリップ。ポーチに入れてて良かった。

髪型よし。
お化粧よし。
服装……、モカベージュのVネックの五分袖リブニットに、黒のテーパードパンツ。
カジュアルだけど大丈夫。
ひとつ頷くと、ヒール音を気持ち早めに鳴らして、店をあとにした。

裏通りから連絡通路を抜けて、息を弾ませながら駅の構内を進んでいく。
通路を真っ直ぐ進んで階段を降りていくと、すぐに地下道入り口に到着する。
スマホを片手に持って、櫂の番号を鳴らした。
Prrrr……
Prrrr……
あれ?出ない……?
電波が悪いわけじゃないはず。
そうだったら、呼び出し音が途切れ途切れになるもの。
近くにはいるはずよね?
探せばすぐ見つかるだろうし……。
首を傾げつつも、電話を切った。
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