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きっかけは十人十色
第26章 ニアミス
スマホを鞄に片付けて、階段を一段一段降りていく。
広場に出て、きょろきょろと辺りを見回すと、雑踏の中、地下道の入り口を少し出た辺りに背の高いシルエットが見えた。
あ、良かった。
すぐ見つかっ……た。
一人じゃ、ない?
ぱちぱちと瞬きをして、再度目を凝らす。
櫂の腕に抱きついてるのは、女の人――。
何か言い争っているようにも見えるけど、この距離からは唇が動いているらしいのを認識するしかできない。
一歩ずつ、ゆっくりと距離を詰めていく。
「櫂」
静かに名前を呼んだ。
抱きついてる女の人に向いていた目線が、私の方に向けられる。
いつもの微笑みではなくて、僅かに目を見開いた状態で。
「彼女さん?」
女の人は腕に抱きついたまま、上目遣いで訊いている。
「あのさ。さっきから言ってるけど離れて」
目線を絡ませずに櫂は答えた。
「はじめまして。元彼女の佐々井です。櫂とはさっき、たまたま会ったばっかりなの」
「どうも。……そうですか」
腕に、ムギュッと胸を押しつけている。
スリムなのに、なかなか豊満なお胸ね。
でも、離れなさいよ。
笑顔を貼り付けて視線を返した。
広場に出て、きょろきょろと辺りを見回すと、雑踏の中、地下道の入り口を少し出た辺りに背の高いシルエットが見えた。
あ、良かった。
すぐ見つかっ……た。
一人じゃ、ない?
ぱちぱちと瞬きをして、再度目を凝らす。
櫂の腕に抱きついてるのは、女の人――。
何か言い争っているようにも見えるけど、この距離からは唇が動いているらしいのを認識するしかできない。
一歩ずつ、ゆっくりと距離を詰めていく。
「櫂」
静かに名前を呼んだ。
抱きついてる女の人に向いていた目線が、私の方に向けられる。
いつもの微笑みではなくて、僅かに目を見開いた状態で。
「彼女さん?」
女の人は腕に抱きついたまま、上目遣いで訊いている。
「あのさ。さっきから言ってるけど離れて」
目線を絡ませずに櫂は答えた。
「はじめまして。元彼女の佐々井です。櫂とはさっき、たまたま会ったばっかりなの」
「どうも。……そうですか」
腕に、ムギュッと胸を押しつけている。
スリムなのに、なかなか豊満なお胸ね。
でも、離れなさいよ。
笑顔を貼り付けて視線を返した。