この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは十人十色
第27章 いたずらなタイミング
地下通路を抜けると、大通りに出た。
膝に手をついて、肩を大きく上下させて息をする。
辺りをぐるりと見回して、車が行き交う隙間を凝視して向こうの通りにも目を向けるも、姿は見当たらない。
家に行くとしたら、最短ルートはこの広い道を通って……。
――広い、道?いや、違う。
人通りが多い中、涙に濡れた顔は見られたくないはずだ。
人目を避けるならば出会う確率の低い、狭い路地を選ぶのが人間の心理というもの。
あぁ、何でこう頭が回らないんだ。すぐに気付けよ、俺。
焦りと連動して、額から汗が流れ出る。
打たれた頬に汗がピリッと沁みた。
爪が当たったのか。
こんなの、詩乃が受けた心の傷に比べたらわけないよ。
腕で汗を拭うと、バラの香りが鼻孔を掠めていった。
こんなところにまで嫌悪感が残るのかと、ため息が出そうになる。
いや、ため息なんかついている場合じゃない。
考えろ、考えろ。
膝に手をついて、肩を大きく上下させて息をする。
辺りをぐるりと見回して、車が行き交う隙間を凝視して向こうの通りにも目を向けるも、姿は見当たらない。
家に行くとしたら、最短ルートはこの広い道を通って……。
――広い、道?いや、違う。
人通りが多い中、涙に濡れた顔は見られたくないはずだ。
人目を避けるならば出会う確率の低い、狭い路地を選ぶのが人間の心理というもの。
あぁ、何でこう頭が回らないんだ。すぐに気付けよ、俺。
焦りと連動して、額から汗が流れ出る。
打たれた頬に汗がピリッと沁みた。
爪が当たったのか。
こんなの、詩乃が受けた心の傷に比べたらわけないよ。
腕で汗を拭うと、バラの香りが鼻孔を掠めていった。
こんなところにまで嫌悪感が残るのかと、ため息が出そうになる。
いや、ため息なんかついている場合じゃない。
考えろ、考えろ。