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きっかけは十人十色
第28章 繋いだ手
櫂にソファに座って貰って、私はその前に膝立ちになった。
人差し指にワセリンを少し取ると、ゆっくりと櫂の頬に指を近付けて、そっと塗り込んでいく。
羨ましいほど肌理が細かくて質感のいい肌にシュッと赤い線が走っていて、周りにも赤みが残っている。
指を絶えず動かしていると、ピクリと櫂が身体を揺らした。
「あ……、ごめんね。痛い?もうちょっと擦り込まないとだから……」
傷口に向けていた視線を少し上げると、櫂と視線が絡んだ。
「もう大丈夫。ありがとう」
「あ、うん……」
指を離そうとすると、パッと手首ごと掴まれた。
ドクン、と鼓動が大きくなる。
少しだけ目を細めて、真っ直ぐ向けられている眼差し。その瞳の奥が少しだけ揺れている。
「さっきは嫌な思いさせて、本っ当にごめん。すぐに追いかければ良かったとか、いやそもそも、とか言い訳しか浮かばなくて情けないんだけど」
「泣かせた立場で何言ってんだって話だけど、今、詩乃のことめちゃくちゃ抱き締めてキスしたい」
――ドクン。
鼓動がまた、大きくなった。
「もう遅い?」
ううん、ううん。
左右に雫を振りながら櫂の胸に飛び込んだ。
人差し指にワセリンを少し取ると、ゆっくりと櫂の頬に指を近付けて、そっと塗り込んでいく。
羨ましいほど肌理が細かくて質感のいい肌にシュッと赤い線が走っていて、周りにも赤みが残っている。
指を絶えず動かしていると、ピクリと櫂が身体を揺らした。
「あ……、ごめんね。痛い?もうちょっと擦り込まないとだから……」
傷口に向けていた視線を少し上げると、櫂と視線が絡んだ。
「もう大丈夫。ありがとう」
「あ、うん……」
指を離そうとすると、パッと手首ごと掴まれた。
ドクン、と鼓動が大きくなる。
少しだけ目を細めて、真っ直ぐ向けられている眼差し。その瞳の奥が少しだけ揺れている。
「さっきは嫌な思いさせて、本っ当にごめん。すぐに追いかければ良かったとか、いやそもそも、とか言い訳しか浮かばなくて情けないんだけど」
「泣かせた立場で何言ってんだって話だけど、今、詩乃のことめちゃくちゃ抱き締めてキスしたい」
――ドクン。
鼓動がまた、大きくなった。
「もう遅い?」
ううん、ううん。
左右に雫を振りながら櫂の胸に飛び込んだ。