この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
きっかけは十人十色
第5章 予期せぬ再会①
「木山さん?」
「柴崎さん…」
しばし流れる沈黙を破ったのは、ごく軽いトーンで発せられた質問だった。
「あれ、柴崎、こんな美人の知り合いいたの。彼女?」
「違いますよ。彼女が会社に来るわけないでしょ」
「あ、あの!私、おつかいで来ただけなんです。すぐに戻らなくちゃいけなくて。失礼します」
サッと頭を下げて、足早にその場を去った。
ビルから出ると、舗装された道にカツカツとヒール独特の硬い音を響かせながら進んで行った。
人の流れもあって急ぎ足でも走ることはままならなくて、それでも呼吸だけは忙しない。
「ッ、ハァ…っ、苦し…」
街灯に手をついて、乱れた呼吸を整える。
何度か深呼吸をすると、上下していた肩が幾分か落ち着いてきた。
ふと、足に若干の違和感を覚えて片足だけパンプスを脱がせると、足の小指が靴擦れを起こしてしまっていた。ヒールで無理な力を加えて歩を進めたせいだ。
「柴崎さん…」
しばし流れる沈黙を破ったのは、ごく軽いトーンで発せられた質問だった。
「あれ、柴崎、こんな美人の知り合いいたの。彼女?」
「違いますよ。彼女が会社に来るわけないでしょ」
「あ、あの!私、おつかいで来ただけなんです。すぐに戻らなくちゃいけなくて。失礼します」
サッと頭を下げて、足早にその場を去った。
ビルから出ると、舗装された道にカツカツとヒール独特の硬い音を響かせながら進んで行った。
人の流れもあって急ぎ足でも走ることはままならなくて、それでも呼吸だけは忙しない。
「ッ、ハァ…っ、苦し…」
街灯に手をついて、乱れた呼吸を整える。
何度か深呼吸をすると、上下していた肩が幾分か落ち着いてきた。
ふと、足に若干の違和感を覚えて片足だけパンプスを脱がせると、足の小指が靴擦れを起こしてしまっていた。ヒールで無理な力を加えて歩を進めたせいだ。