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きっかけは十人十色
第7章 運命の日曜日
「側に置きたいって言い方だと、俺の答えは“思わない”になるよ」
木山さんは一つ頷くと、視線で続きを促した。
「ただ単に、顔や仕草を眺めるだけじゃなくて、色んな表情とか見たいって思うし、話しててこういう風に思うんだな、とか、触れたらどういう反応するのかなとか」
「ずいぶん、淡々と話すのね」
「実はすごく緊張してる」
「まさか」
「確かめてみる?」
木山さんの手を掴むと、俺自身の鼓動にそっと触れさせた。
「…ほんとだ…」
距離が僅かに近くになったために、木山さんからほのかに香りがした。
理性が保つのも時間の問題だ。
「柴崎さん。…顔、近い」
「今なら我慢できるよ。嫌なら離れて」
そう言いながら、力を緩めてはいるが木山さんの手を掴んだままだ。
「待って。私まだ、ちゃんと返事してない」
見たままの印象の人は面白くないな、とは思う。この状況で流されないとは。
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