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第16章 油断は禁物

「…磐井物産さんが来る前に化粧直さなきゃ。じゃあ、お疲れ様」
と、巻き髪を翻して休憩室を出て行った。
おかげで頭はすっきり冴えたが、後味が悪い。
かと言って、どう言えば正解だったのか分からない。意図が伝われば良かったのだから、正解はないのかもしれないが、さっきの言葉が模範解答だったのだろう。他の返しも浮かんでこない。
手の中に残ったコーヒーはだいぶ温くなってしまっていた。
一気に飲み干すと、資料室へと向かった。