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きっかけは十人十色
第18章 さじ加減は
数回のコール音の後、電話が繋がった。
『はい。もしもし』
「もしもし?ごめん、着信すぐに取れなくて」
『あ、ううん。いいの』
え、いいの?どういうことだ?
考えが追いつかず、首を傾げた。
『ちょっと声が聞きたくなっただけだから』
なかなか可愛いこと言うな。でも…
「…何かあった?」
『あ、えっと…。大したことじゃないの。大したことじゃないんだけど』
どこか歯切れが悪い。
「物の大小は関係ない。言ったら楽になるかもしれないし、電話がダメなら直接でもいいし。閉じ込めなくていいから。どうしたの?」
『…仕事のグチ…』
「うん?」
『あの…、私の仕事、営業事務なのね。簡単な書類作成とか事務的な連絡してるんだけど。仕事してると、合間合間で手が空くじゃない?』
「うん」
『そのタイミングで来客があったの。しかも5人分。周りから視線感じたから、空気読んで給湯室に行ってお茶出ししたの。
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