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きっかけは十人十色
第18章 さじ加減は
「はい、どうぞ」
「いただきます」
木山さんは受け取ったマグカップをそっと持って、フー…と息を送り込んで冷ましている。
「…熱いの苦手?」
と、ソファの隣に座りながら訊くと、
「ちょっとね」
と、わざとらしく肩を竦めてみせた。
「何か意外だった」
「え?」
「愚痴は言うようなタイプだと思わなかったから」
「…」
「あ、全然悪い意味じゃなくて。言って貰っていいし、促したのも俺だから」
「…気性が荒いわけではないと思うんだけど、何か引っ掛かると引きずるっていうか。仕事だから割り切れれば楽なんだろうけど」
「普通の感性だとは思うけどね。さらっと受け流して気にしないって人もいるけど。俺は嫌いじゃないよ、そういうの」
「…うん。ありがとう」
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