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きっかけは十人十色
第18章 さじ加減は
家まで送ると言って二人で夜道を並んで歩いていると、木山さんが空を見上げてぽつりと言った。
「珍しい」
「え?」
「星が見えるの」
つられて空を見上げると、いつもは街の灯りに消されてしまって見えない輝きがあった。
「…ほんとだ。8月もそろそろ終わりか」
「夜が長くなってきたのかもね。あ、ねぇ!小学生の頃、星座の観察しなかった?」
「あー、あったあった」
「夏の大三角覚えてる?」
「「ベガとデネブとアルタイル!」」
顔を見合わせて、一息に同時に答えた。
「結構覚えてるものね。ふふ、懐かしいなぁ」
「眠いの我慢して起きて観察してた」
「うん、そうそう」
クスクスと笑って肩を揺らしている。
「良かった。今日櫂に会って。一日モヤモヤしてたのが晴れた感じ」
軽快に歩き始めた後ろ姿を見て、自然と口が動いた。
「詩乃」
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