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きっかけは十人十色
第18章 さじ加減は
立ち止まってこちらを振り返ると、ぽかんと口を開けている。
「あ、ごめん。呼び捨て」
「ううん、いいの。ちょっとびっくりしただけ…。嬉しい…」
街灯の下で、少し潤んだ目が光っている。
素早く、周囲に誰もいないのを確認すると、肩を抱き寄せて唇を重ねた。
「…今日、二回目…。外なのに」
唇を離した後で小さな抗議があったが、俺は突き動かされる感情には勝てないらしい。
「気を付けます…」
と謝った後で、聞こえるか聞こえないかくらいのボリュームで本音が漏らされた。
「…いいけど」
その後、家に着くまでの道のりは手を繋いで歩いた。
遠慮がちに絡ませる指を優しく握り取って、ほのかに詩乃の温もりを感じた。
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