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きっかけは十人十色
第21章 市場調査
「田嶋先輩」
「どうした?」
「彼女さんとどれくらいの頻度で会ってます?」
「何だよ、藪から棒に」
薄く笑いながらも、田嶋先輩はデータを残す為、エクセルに数字を手際良く入力していく。
「会えてないのか?」
「まぁ、しばらく会ってないです」
「へー……」
相づちを打つと口は閉じられ、カタカタと10キーの上を滑らかに動く音だけが響く。
「あの、俺の質問の答えは」
「分かってるけど、今仕事中だろ?泣き言なら昼休憩に聞いてやるから」
田嶋先輩の言い分は正しい。
「分かりました。頑張って終わらせます」
「お、じゃあこれも頼む」
ニヤリと口の端を上げると、積み重ねていた書類の山から、クリップで留めきれていないほどの厚さのものが取り出された。
手を伸ばそうとして思い止まり、それそろと引っ込めようとしたのだが俺のデスクに置かれてしまった。
おかげで手は行き場をなくして、書類を取らざるを得なくなる。適度な重みが指先にかかった。
――多くないか、これ。
「どうした?」
「彼女さんとどれくらいの頻度で会ってます?」
「何だよ、藪から棒に」
薄く笑いながらも、田嶋先輩はデータを残す為、エクセルに数字を手際良く入力していく。
「会えてないのか?」
「まぁ、しばらく会ってないです」
「へー……」
相づちを打つと口は閉じられ、カタカタと10キーの上を滑らかに動く音だけが響く。
「あの、俺の質問の答えは」
「分かってるけど、今仕事中だろ?泣き言なら昼休憩に聞いてやるから」
田嶋先輩の言い分は正しい。
「分かりました。頑張って終わらせます」
「お、じゃあこれも頼む」
ニヤリと口の端を上げると、積み重ねていた書類の山から、クリップで留めきれていないほどの厚さのものが取り出された。
手を伸ばそうとして思い止まり、それそろと引っ込めようとしたのだが俺のデスクに置かれてしまった。
おかげで手は行き場をなくして、書類を取らざるを得なくなる。適度な重みが指先にかかった。
――多くないか、これ。