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きっかけは十人十色
第22章 嵐の前触れ
「柴崎、午後からって空いてる時間ある?」
キーボードを叩きながら、田嶋先輩が話しかけてきた。
「はい、ちょっと待って下さい。確認します」
確か、二時間ほど空いている時間があったはずだ。
手帳を鞄から取り出すと、閉じた紙の縁に親指を滑らせながら扇状に開いて、予定を書き込んだページで指の動きを止めた。
「15時以降なら大丈夫です」
「あのさ、篠田興産に行って欲しいんだけど」
午後イチで渋井工業へ見積もりを持って行かなければならない。
移動距離は30分くらいだろうか。
「えっと……、はい。渋井さんに伺った後なら動けますよ」
「この書類頼んでいい?」
茶封筒を渡された。若干厚みがある。
「今日持って行く約束してたんだけどさ、俺、他のお客さんのとこに急にアポ入っちゃって。日付ずらせないから」
「あ、もしかして納品リストですか?」
「そう。来期の見直しも兼ねてリストを見たいって部長さんが言ってたやつ。まだ9月だってのに」
コキコキと首を鳴らしながら、先輩が溜め息をつく。
キーボードを叩きながら、田嶋先輩が話しかけてきた。
「はい、ちょっと待って下さい。確認します」
確か、二時間ほど空いている時間があったはずだ。
手帳を鞄から取り出すと、閉じた紙の縁に親指を滑らせながら扇状に開いて、予定を書き込んだページで指の動きを止めた。
「15時以降なら大丈夫です」
「あのさ、篠田興産に行って欲しいんだけど」
午後イチで渋井工業へ見積もりを持って行かなければならない。
移動距離は30分くらいだろうか。
「えっと……、はい。渋井さんに伺った後なら動けますよ」
「この書類頼んでいい?」
茶封筒を渡された。若干厚みがある。
「今日持って行く約束してたんだけどさ、俺、他のお客さんのとこに急にアポ入っちゃって。日付ずらせないから」
「あ、もしかして納品リストですか?」
「そう。来期の見直しも兼ねてリストを見たいって部長さんが言ってたやつ。まだ9月だってのに」
コキコキと首を鳴らしながら、先輩が溜め息をつく。