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恍惚なる治療[改訂版]
第8章 沼に溺れる
「ただいま…」
「みぃ…」
「とら丸ごめんなー、ずっと留守にしてて。お前の好きなおもちゃ買ってきたから遊ぼうなー」
やっと自宅に帰って来られた安堵感と、とら丸のモフ毛を触っているうちに力が抜けて眠気が…
今日は疲れたから早めに休んで、仕事は明日から頑張ろう…とケトルで水を沸かし、カップ麺を取り出しながら決める。
柳川先生とセックス紛いの行為をしたのもあるが、帰りに電車に乗ったのも身体を疲れさせた原因となっていた。
正常な日常生活を送る上で、電車を克服しないといけないのかな…
『僕はあなたに深い欲情を抱いてるんです。普通のデートじゃ済まないんですよ?嫌なら断らないと…』
改札前で別れる前に柳川先生から念押しされたが、俺は断らなかった…
どうしてあの時、断らなかったのか…
いや、断れなかったの方が正しいのだろう…
恐らく、また会えば身体を触られる事になるだろう…
俺にとっては、トラウマを掘り起こされる危険性を孕んだ行為なのに…俺は結局キスも口淫も受け入れてしまった…
性行為を抜きにして考えれば、柳川先生と出掛けるのは新鮮で楽しかった…
誰かと出掛けて飯を食べて、買い物をするのは久しぶりで、年甲斐もなくワクワクしてしまった。
それも断れなかった一因だろう…