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恍惚なる治療[改訂版]
第8章 沼に溺れる

「いつも治療で僕がしているようにもう少し強く握って…そう…上下に動かしますよ…」

熱を発するソレに手を添え、上下に手首を捻ると反り返った裏筋や先端に擦れて気持ちいい…

「あっ、ふっ…」

動かしているのは柳川さんなのに、触れて気持ち良くしているのは自分の手…
不思議な感覚があるのは、自分がまだ力を込めずに握っているのもあるのかもしれない

「1人でされる時は、勃起する為に想像して下さい。佐伯さんは小説家だから、感受性や想像力に富んでらっしゃると思うので簡単かと…」
「無理です…女性の事を想像すると気持ち悪くなって、発作が起きるので…」

自慰行為をする上で1番の危険が興奮する為の過程で想像出来るものがない…
そんな懸念も柳川さんはアッサリと吹き飛ばした。

「何も想像の材料が女性でないといけないわけじゃありませんよ?例えば…僕とか」
「はっ…?」
「僕の声、手や口や舌の感触と、僕の雄の質量…思い出して下さい」
「…っ!」




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