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恍惚なる治療[改訂版]
第8章 沼に溺れる
「お待たせしました。小籠包です」
「おお、来た…」
「蓮華に載せて、穴を開けて肉汁を出して下さい。そのまま頬張ると口の中火傷しますから」
「う、うまぁ…」
口の中に広がる肉汁と具材と包む皮がマッチしている…!
人生初の小籠包に感動していると、柳川さんは微笑みながら小籠包の汁を啜った。
「美味しいですね。小籠包もそうだけど、他の料理もリーズナブルな値段なのに絶品ですね」
炒飯も油淋鶏も海鮮野菜炒めも注文した料理全て美味しくて、腹に空きがあれば、もっと食べたいくらいだ。
「良い店を紹介してもらって、ありがとうございます。ランチもあるみたいだから、今度来てみようかな?」
ランチメニューを眺めながら呟くと、柳川さんがメニュー表を押さえて、顔を見るよう促してきた。
「お1人で?」
「え?まぁ…」
「寂しいなぁ、僕も誘ってくれればいいのに…」
寂しそうな表情に思わずまた抱き着きたい衝動に駆られたが、いくら個室とは言え人の行き交う店内の為、太腿を抓って衝動を抑えた。
今日は本当におかしい…こんな感情を持ってしまうなんて…
「また来ます?一緒に…」
「はい。約束です」
「はい」