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恍惚なる治療[改訂版]
第10章 ただの口実
ピンポーン…
『佐伯さんいらっしゃい、今開けますね』
「はい」
今日は柳川さんの家で宅飲みに誘われた。
柳川さんからは「こちらで用意しておくので、何も用意しなくても良い」と事前に言われていたが、やはり何か持ってくるべきだったか…
ガチャ…
「佐伯さんこんにちは。来て下さってありがとうございます」
「いえ」
玄関の扉を閉めると、いきなり抱き締められ首元に鼻を埋めて匂いを嗅いでくる…
「ちょっと…」
「いい匂い…佐伯さんって香水とか付けられてます?」
「いや、匂いがキツいの付けると、気分悪くなるんで…」
「へえ、この匂いは佐伯さんから出てるのか…」
擽ったいのと、髪の毛の擦り付け方がいやらしくて変なスイッチが入りそうだったので、柳川さんの胸を押して無理矢理引き離す。
「もう酔っ払ってるんですか?早く呑みましょうよ…」
「はぁ、もう少しこうしたかったけど、料理冷めちゃいますから行きましょうか」