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恍惚なる治療[改訂版]
第10章 ただの口実

リビングに通されると、いい匂いがしてきて、匂いの先に目をやるとローテーブルの上に3品料理が用意されていた。
唐揚げと枝豆とサラダが用意されているが、何やらサラダの具材が全部四角い…

「これはチョッブドサラダです」
「こんなサラダもあるんですね…もしかして、柳川さんが1人で全部用意されたんですか?」
「はい。佐伯さんと宅飲みするのが楽しみで、つい張り切っちゃいました…」

チーズやナッツだけの宅飲みかと想っていたら、張り切ってここまでしてくれるとは…
何もしてない手ぶらで来た自分が情けない…

「俺、何も用意してなくて…柳川さんに全部やってもらってすみません…」
「お気になさらないで下さい。僕からお誘いしたんですから、おもてなしさせて下さい」

柳川さんに促されてソファに座ると、ウイスキーと炭酸飲料が置かれる。
せめてハイボールだけは作ろうと、グラスに氷を入れ、2人分用意する。

「ありがとうございます。乾杯しましょうか」
「はい」




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