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恍惚なる治療[改訂版]
第12章 熱に浮かされて

(はぁ、やっぱり好きだなぁ…)

とある休日、2週間程会えてなかった僕達だが、ようやく佐伯さんの家に来られ、それまで仕事漬けだった佐伯さんに昼食を食べてもらった。

個人的にはとら丸くんに一目会いたかったが、人見知りらしい彼は僕の気配を察知すると、別の部屋に隠れてしまった…

「昼飯の野菜炒め、めちゃくちゃ美味かったです。ありがとうございました」

そうお礼を言ってもらえただけで、作って良かったと心から嬉しくなった。

(また作ってあげよう…)

こうやって誰かの世話を焼くなんて今までしてこなかったけど、好きな人に世話を焼くのは悪くない。
むしろ、役に立てるのが嬉しくなる。

食器を洗いながら後ろを振り返り、ノートパソコンで仕事をする佐伯さんの横顔を盗み見る。
最近は短編小説の執筆依頼が2件入ったらしく、寝る暇も無いと佐伯さんは愚痴っていた…

今の佐伯さんも十分素敵だ…
真剣にパソコンに向き合う姿も、普段見られない眼鏡を掛けた顔も、全てがカッコいい…

そんな彼を淫らに快楽に溺れさせて、乱しているのが僕だと思うと、興奮してきて今すぐにでも襲いたくなる…

食べたい…

早々と食器洗いを終えて、佐伯さんの隣に座り、佐伯さんの身体に擦り寄る。
佐伯さんは仕事中にも関わらず、嫌な顔1つせず、僕を受け入れてくれた。



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