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恍惚なる治療[改訂版]
第13章 俺に出来る事
居間から顔を出した三雲さんと玄関に立っていた柳川さんの目が合い、2人とも固まった。
「アレ?…お客さんですか?」
「………」
2人の顔を交互に見ていると、不意に柳川さんが目を細めて俺を一瞥すると、俺に背を向けて扉を開けた。
「すみません佐伯さん、用事を思い出したので、失礼しますね。どうぞ彼女とごゆっくり過ごしてください」
「え、柳川さ…」
扉が開くと、柳川さんは素早く隙間をすり抜けて外に出て、追い掛けられないよう扉を閉められた。
「佐伯先生、私お邪魔でしたよね…」
「いや……ごめん、今のがAさんなんだ」
「えっ!?あの人が…!?もしかして、誤解しちゃったんじゃ!?すぐに追い掛けないと!」
熱くなる三雲さんを宥め、ソファに座ってもらった。
「いや、良いよ…少し時間を置いて話し合った方が冷静に誤解を解けると思うから…」
「でも…」
納得いかなそうな三雲さんを横目にどうしようか思案する。
あれこれ考えていると、三雲さんがおずおずと話し掛けてきた。
「あの、佐伯先生…」
「ん?なに?」