この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恍惚なる治療[改訂版]
第14章 古傷
寝る時間となり、柳川さんには隣に来客用の布団を敷いてもらい、そこで寝てもらう事にした。
一緒にベッドで寝るわけではない、俺のベッドがシングルサイズ狭く、柳川さんの寝相があまり良くない事、今の俺の状態から判断し、別々に寝る事に。
「すみません、明るくて…すぐ寝るんで、そしたら電気を消して下さい」
「はい」
ベッドに入り、瞼を閉じると柳川さんが話し掛けてきた。
「佐伯さん、まだ寝ていませんか?」
「はい」
「もし、古傷が痛むなら僕に言って下さいね」
「古傷…」
「そうなったら、僕はあなたが安心出来るまで撫でてあげます。手を繋いだりハグをしたり、それで佐伯さんが落ち着くなら僕を利用して下さい」
「利用だなんてそんな…俺達は恋人同士なんでしょ?そんな風に言わないで下さい…」
利用という言い方は嫌だ…
でも、本当の事が言えない俺が悪いのだろう…
柳川さんに言えるだけの精神状態に戻りたい…