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恍惚なる治療[改訂版]
第4章 3回目の治療

病院に通院する日、午前中に三雲さんが仕事を終えると、俺に向き合って深刻な顔をしてお願いをしてきた。

「あの、佐伯先生…」
「どうしたの?」
「実は、佐伯先生にお願いがあって…いきなりで悪いんですが、今週の土曜日、私の恋人のフリをしていただけませんか?」
「…えっ?」

いきなりのお願いに俺は固まってしまった。
こ、恋人のフリなんて、何で!?

「ど、どうしたの、急に…」
「すみません、実は最近うちの母からお見合いの話を強引に持ち込まれてて…私まだ結婚なんて考えてないので、断る為に恋人役をしていただきたいんです」
「でも、俺はちょっと…」

まともに女性と付き合える状態じゃないのに、お願いを快諾する訳にはいかない…

「ただ、両親と会って食事だけしていただけたら、その後は恋人のフリはしなくても良いので…急にこんなお願いしてしまってすみません…うちの男性スタッフは皆彼女や奥さんが居るから頼めなくて、他に頼れる人が佐伯先生しか居なくて…お願いします…」

泣きそうな顔で必死にお願いする彼女を見て無理に断れなくなって…




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