この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恍惚なる治療[改訂版]
第4章 3回目の治療
ナースステーションの前を横切ると、女性看護師が2人だけでカルテのような資料を整理しながら会話をしていた。
普通なら素通りする所だが、耳に入ってきた内容から思わず2人の死角となる場所で立ち止まって聞き耳を立てた。
「ねぇ、聞いた?柳川先生の話?」
「柳川先生がどうしたの?」
柳川先生の話だけなら、何ともないのだろうが、そこに俺が絡んで来ると厄介な話になりそう…
もし、治療中に俺の声が聞こえていたらと思うとヒヤヒヤする…
「この前、宇佐美さんが柳川先生に『ランチの美味しいお洒落なお店知りませんか?』って尋ねられたんだってー」
「へー。それって、彼女とのデートに良いお店が無いか聞いてるんじゃない?」
まだ柳川先生の話は続いているが、俺の治療中の話は出なさそうだったので、足音を立てずにその場を後にする…
彼女…この前の治療でサラッと彼女の事を話してたような…
彼女の為に事前に良い店を吟味するなんて、よっぽどその彼女を大事にしてるんだな…