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第3章 な

「お前は仕事のプレゼンの時もそうだけど
ちゃんと主語を話せ？それだけで相手の印象も違うぞ？」

軽くため息をついて出口に向かう武藤にチョロチョロと着いて行きながら
「あ、武藤、私の分！」
とお財布を出せば
「いいよ。お昼ぐらい」
と言いながら
「安西、いつも俺に奢らせてるじゃん」
と笑う。

うん。そうなんだけど。
あんたの方が絶対に稼ぎが良いし
可愛い奥さんがいて憎らしいし
銀座にワンピース買いに行っちゃうぐらいだし・・・

「この後どうする？銀座に行きたいんだっけ？」
ううん。
銀座に行きたいのは奥さんでしょ・・・
「ん？なに？聞こえない」

ボソッと言った言葉を拾いきれなかったようで
「何でもない」
わざわざ言うことでもない。

「横浜の駅ビルすげー変わったじゃん？」
「あ！そうそう！」
「映画館が入ったりさ」
「なんかきれいな吹き抜けの空間が空港みたいだよね！」
「俺まだちゃんと行ってないんだよ」
「私もないけど」

「何だよ」

ポンポンと言い合うその会話に可笑しくなって2人で笑う。

仕事でもそうだけど
会話のテンポが合う。

こーゆー男とは話していて楽しい。