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透明な炎
第1章 透
カタカタと言うよりガチャガチャと極限まで速く鳴るキーボードの音。
常に鳴る電話の半分は海外から。

1日12時間以上会社に居て
家には寝に帰るだけの生活。

もうこんな生活を始めて何年なんだろう。

ううん。
思い返せば学生の時だって大して変わりはなかった。

勉強して勉強して。
恋だってまともにしてこなかった。

週末に見る撮りためたドラマはみんな素敵な恋をしていたし
たまに読む恋愛小説だって、みんなちゃんと恋をして大人になってる。

「乙女ゲーでもしようかな」

先日久しぶりに会った数少なくなった独身の友人がなにやら熱心に勧めていたっけ。

「なに?」

ついつぶやいたその言葉を隣の席の武藤が拾ったらしい。
こいつは同期で、同じ部で席も隣で。
いつも同じプロジェクトを一緒にやることが多くて
部内ではワンセットに考えられてる。

「なんでもない」

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