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あの時、あのBARで
第3章 再会という名のBAR
潤平も、会ったことのない先輩バーテンダーを想像するかのように視線を彷徨わせ、
静かな声で話しを続けた。
「そのお客さんがシェイカーを振る真似をした時に見ちゃったんだけど、
右手の小指の下あたりに赤い大きな痣があって、
僕がじっと見ちゃったことに気付いてしまって・・」
まだ話は続きそうだったが、3人は全身を硬直させ、呼吸をも止め、潤平の話を遮った。
潤平は、3人の様子が明らかにおかしい事に気付くと、
どうかしたの?と恐る恐る聞き返した。
瞳と伊知子はたっちゃんを見る。その視線を受け止めてからたっちゃんは潤平を見る。
ますます怪し気な雰囲気に包まれたカウンターは静まり返り、
店内にはテーブル席の客の笑い声だけが響いた。
「ねえ・・どうしたのよ、僕、なんか変な事でも言った?」
沈黙にしびれを切らした潤平が、すがるようなまなざしを向けるので、
たっちゃんが大きく息を吐いてから、潤平に向かってこう言った。
「ムーンライトの川又さんも、カクテルの大会で準優勝したことがある・・そんで・・
そんでもって・・右手小指の下に・・赤い大きな痣があった。
だからシェイカーを振る時はいつも右を向いて振っていた・・」
「だけど、伊知子の座ってる場所でシェイカー振ったら・・右手が見えるよね・・」
「潤平さん・・憑依体質って言ってたけど、まさかあっちの人まで・・・?」
言ってから、ハッと気づいて伊知子は立ち上がり、ゆっくりとその席から離れた。
「再会という名のBAR」より
静かな声で話しを続けた。
「そのお客さんがシェイカーを振る真似をした時に見ちゃったんだけど、
右手の小指の下あたりに赤い大きな痣があって、
僕がじっと見ちゃったことに気付いてしまって・・」
まだ話は続きそうだったが、3人は全身を硬直させ、呼吸をも止め、潤平の話を遮った。
潤平は、3人の様子が明らかにおかしい事に気付くと、
どうかしたの?と恐る恐る聞き返した。
瞳と伊知子はたっちゃんを見る。その視線を受け止めてからたっちゃんは潤平を見る。
ますます怪し気な雰囲気に包まれたカウンターは静まり返り、
店内にはテーブル席の客の笑い声だけが響いた。
「ねえ・・どうしたのよ、僕、なんか変な事でも言った?」
沈黙にしびれを切らした潤平が、すがるようなまなざしを向けるので、
たっちゃんが大きく息を吐いてから、潤平に向かってこう言った。
「ムーンライトの川又さんも、カクテルの大会で準優勝したことがある・・そんで・・
そんでもって・・右手小指の下に・・赤い大きな痣があった。
だからシェイカーを振る時はいつも右を向いて振っていた・・」
「だけど、伊知子の座ってる場所でシェイカー振ったら・・右手が見えるよね・・」
「潤平さん・・憑依体質って言ってたけど、まさかあっちの人まで・・・?」
言ってから、ハッと気づいて伊知子は立ち上がり、ゆっくりとその席から離れた。
「再会という名のBAR」より